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それぞれの個性 ②

Penulis: 紅城真琴
last update Terakhir Diperbarui: 2025-05-07 09:35:39

プププ プププ

昼休みの時間にPHSが鳴った。

「はい、救命科竹浦です」

「大樹だけど」

ああ。

「お前、ちょっと時間ある?」

「何?」

普段から後ろめたい思いがある私は、つい身構えてしまう。

「今どこ?」

「食堂だけど・・・」

「1人?」

「うん」

一体何なんだ。

「行くから、待っててくれ」

「えっ、いや。用事があるなら、私が医局へ行くわよ」

「いいんだ。俺もちょうど昼食を摂るところだったから」

「ああ、そう」

と電話を切ったものの、大樹といると目立つのよね

「お待たせ」

しばらくして、大樹が現れた。

「何?どうしたの?」

「うん、母さんの検査結果がよくないんだ」

え?

「そんなに悪いの?」

「緊急ではないけれど、1度入院して治療した方がいいだろう」

「そんなに・・・」

母さんは再生不良貧血という血液の病気を持っている。

重症ではないが、通院と投薬は続けなくてはならない。

「ところで、お前は大丈夫なの?」

チラッと、大樹が私を見る。

うっ、

「検査はしてる?」

「う、うん」

実は私も同じ病気。

体調が悪くなると血小板の数値が落ちて、血が止まりにくくなる。

「無理するなよ」

「うん」

そういえば、昔から私と母さんは同じタイミングで寝込むことがよくあった。

さすが親子というか・・・血も繋がっていないのに。

「帰れないんなら、せめて休みの日には顔を出せ。父さんも母さんも待ってるはずだから」

「はい」

長男として、兄として、大樹はみんなに気を遣う。

いい人過ぎて疲れないんだろうかと、心配にもなる。

大事に育ててもらった娘のくせに、私は何できないことが申し訳ない。

その日の午後、私はヘリの担当だった。

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